酵素の分類 酵素反応の特徴 酵素反応速度論 酵素活性の調節
生体内のほとんどの化学変化は酵素(enzyme)というタンパク質によって触媒される。酵素と結びつき変化を受ける物質を基質(substrate)という。基質は酵素分子の表面の特定の部位(活性部位, active site)に結合し,酵素タンパク質が作りだす特殊な環境により,いったんエネルギーの高い状態の(ただし,触媒がない場合よりは低いエネルギーで済む)酵素-基質複合体を形成する。この状態から,基質は生成物(Product)へと化学形を変え,酵素から離れる。それと同時に,酵素は元の分子状態に戻り,再び次の基質と結合する。
酵素反応の一般的な表し方
E + S ES E + P
 E:酵素 S:基質 ES:酵素-基質複合体 P:生成物
 
酵素反応は酵素と基質が複合体をつくることから始まる。
近年,タンパク質以外の物質が生体内で触媒作用を発揮する例が見つかってきた。一部のRNA(リボ核酸)には,触媒作用がある。このような核酸をリボザイム(ribozyme)という。
生体内では,たくさんの酵素が働いている。それらの酵素は場合によっては単独でも働くが,多くの酵素はタンパク質以外の成分を必要とする(補助因子)。補助因子の中でも補酵素は特に重要なものである。
体内での一連の化学反応を経路と呼ぶ。例えば,グルコースからピルビン酸や乳酸に到る経路は解糖と呼ばれる。一連の化学反応は,ある特定の個所で制御することにより,全体の経路を制御できる。このような特定の個所には,しばしば,アロステリック酵素などの特有の性質を持つ酵素が使われている。
酵素研究の歴史
紀元前〜 パン,ビール,ワインなど→発酵(fermentation)。発酵は生命力のなせるわざ!
19世紀中頃 パスツール→発酵は酵母中の易熱性物質が関与)

1822年 W. バーモント
銃で胃に穴の開いた猟師の胃を外から観察→消化も発酵と似た作用による
1822年 W. バーモント
銃で胃に穴の開いた猟師の胃を外から観察→消化も発酵と似た作用による
1835年 ベルツェリウス
ジャガイモ中にデンプン分解作用を持つ物質を確認
1878年 キューネ
酵母(ギリシャ語"zyme")の中("en")で発酵が起きることから,『酵素』(= enzyme)という用語を提唱。当時,まだ酵素の化学的本体は不明であった。
1890年 E. フィッシャー
酵素の"鍵と鍵穴"モデルを提唱。
1897年 ブフナー
酵母を砂ですりつぶして透明なろ液を得た。これが「アルコール発酵」作用を保持していることを証明。また,熱処理で活性が消失する(失活)ことも観察。→発酵の生命力説を否定。実体は高分子か?
1902年 ブラウン(英)とアンリ(仏)
スクラーゼの活性は酵素濃度に依存。反応の途中で基質と酵素は「酵素-基質複合体」をつくるという概念。
1913年 ミカエリス、メンテン
『ミカエリス・メンテン式』を発表。
1926年 J. B. サムナー
ナタマメから酵素ウレアーゼ*(urease)を結晶化。これはタンパク質からできていた。
酵素=タンパク質
  *NH2CONH2 + H2O → 2NH3 + CO2
1930年代 J. H. ノースロップ
ペプシン,ペプシノーゲン,キモトリプシン,キモトリプシノーゲン,トリプシン,トリプシノーゲンの結晶化。
1982年 チェックやアルトマン
触媒作用を有するRNAである『リボザイム』を発見。(触媒作用はタンパク質だけによらない。生命の起源はRNAから始まったとされる『RNAワールド仮説』へ)



酵素は,その触媒反応の形式によって,次の6つに分類される。
酵素の分類と名称
酵素 反応の形式
1. 酸化還元酵素
(Oxidoreductase)
酸化還元反応 デヒドロゲナーゼ群 [2水素利用],シトクロム群 [Fe2+/3+利用],
カタラーゼ,オキシダーゼ群,
オキシゲナーゼ群,脂肪酸不飽和化酵素
2. 転移酵素
(Transferase)
原子団転移反応 アシル転移酵素 [アシル基転移],キナーゼ群 [リン酸基転移],
アミノトランスフェラーゼ群 [アミノ基転移]
3. 加水分解酵素
(Hydrolase)
加水分解反応 タンパク質分解酵素群 (プロテアーゼ),
脂質分解酵素群(リパーゼ),
糖質分解酵素群(アミラーゼ,リゾチーム,β‐ガラクトシダーゼ)
リン酸分解酵素群(ヌクレアーゼ群,ホスファターゼ群,制限酵素)
その他(ウレアーゼ,ATP加水分解酵素)
4. 脱離酵素
(Lyase)
付加および脱離反応 炭酸ヒドラターゼ,ピルビン酸デカルボキシラーゼ
5. 異性化酵素
(Isomerase)
異性化反応 ラセマーゼ群,ホスホグリセリン酸ホスホムターゼ,
グルコース6-リン酸イソメラーゼ
6. 合成酵素
(Ligase, Synthetase)
C-C, C-O, C-N結合
などの生成反応
(ATPを要求)
DNAリガーゼ,アミノアシルtRNA合成酵素,
アシルCoAシンテターゼ,カルボキシラーゼ群
補助因子:
活性を発揮するためにアミノ酸以外の成分(補助因子)を必要とする酵素もある。タンパク質部分をアポ酵素(apoenzyme),補助因子を結合した状態の酵素をホロ酵素(holoenzyme)と呼ぶ。
  1. 共有結合した色素(補欠分子族という):
    FAD, ヘム(シトクローム類,カタラーゼ,ヘモグロビンなど),ビオチン,リポ酸など
    ビオチニル基(Lys残基に結合)
    リポイル基(Lys残基に結合)
  2. 金属イオン:
    Mg2+: ヘキソキナーゼ,ホスホグルコムターゼ,グルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼ,EcoRV他
    Ca2+: a-アミラーゼ
    Zn2+(配位): アルコールデヒドロゲナーゼ,カルボキシペプチダーゼA,アルカリホスファターゼ,カルボニックアンヒドラーゼ(CA),サーモリシン他
    Cu2+(配位): チロシナーゼ
    Mo6+,Fe3+: キサンチンオキシダーゼ,硝酸レダクターゼ
    Cu2+, Zn2+(配位): スーパーオキシドレダクターゼ,アルギナーゼ
    Se: グルタチオンペルオキシダーゼ
    K+: プロピオニルCoAカルボキシラーゼ
  3. 補酵素(coenzyme):
    非共有結合でアポ酵素に結合した有機化合物。NAD+, NADP+, FAD, FMN, TPPなど
    ビタミンB類はこれらの補酵素の原料である。

    左はアポ酵素(不活性)を表す。補助因子()がアポ酵素に結合すると活性型のホロ酵素になり,基質に作用できる。



酵素と活性化エネルギー
酵素は反応の活性化エネルギーを下げ,反応の速さを数百万〜数億倍に上昇させる。
\
触媒の効果
反応 触媒 活性化エネルギー
[J/mol]
H2O2の分解

なし
白金コロイド
カタラーゼ
75,000
50,000
20,000
ショ糖の分解
水素イオン
スクラーゼ
110,800
48,000


Ea,Ea':活性化エネルギー
[活性化エネルギーと触媒]
Arrheniusの式
log k = A/2.303 - Ea/2.303RT
    k, 反応速度定数; A,頻度因子; ,気体定数(=8.31 J/mol・K); T,絶対温度
過酸化水素の分解: 白金触媒と酵素カタラーゼの触媒能の比較
log(kcat/kPt) = (5 X 104 - 2 X 104)/(2.303 X 8.31 X 310) = 5.06
kcat/kPt =105
カタラーゼは白金より10万倍も触媒能が高い!無触媒に比べれば,数億倍になる。
酵素の触媒作用の特徴
酵素の本体はタンパク質であるから,その触媒作用にはタンパク質としての性質が反映される。
至適温度(optimum temperature)
酵素が作用を発揮する最適の温度のこと。一般に,反応速度は温度とともに上昇するが,酵素はタンパク質であるから高温では変性するため,活性が逆に低下する。
[酵素反応速度と温度]
《至適温度》これは一応の目安で,例外はいくらもある。
 動物の酵素: 35〜50℃
 植物の酵素: 40〜60℃
 好熱性細菌: 80〜100℃
   (超高熱菌には100℃以上のものもある)
至適pH (optimum pH)
酵素が作用を発揮する最適のpHのこと。酵素の活性には種々のアミノ酸の解離性原子団が関与する。酵素活性がpHに依存するのは,それらの原子団の解離がpHによって変化するためである。
[酵素反応速度とpH]
基質特異性(substrate specificity)
 酵素は特定の反応だけを触媒する。また,特定の化合物または一群の化合物にしか作用しない。この性質を酵素の基質特異性という。また,酵素は基質中の原子団の立体配座(DとL,cisとtrnasなど)を区別する。つまり,酵素は立体構造を認識できる。このような基質特異性を立体特異性という。以下,例を示す。  酵素の表面には基質が結合する溝状のくぼみがある。基質はこのくぼみに結合し,変化を受ける。このような酵素の立体構造の領域を活性部位または活性中心という。酵素には立体特異性が見られることから,活性部位において,基質は少なくとも3点で酵素と結合すると考えられる。(実際にはもっと多くの相互作用が存在する事が知られている。)

一般に,活性部位の立体構造は、鍵と鍵穴の関係のように特定の基質とぴったり合うようになっている。これを酵素の”鍵と鍵穴”モデルという。
 ある酵素では,特定の基質と結合する時に活性部位の立体構造が少し変化する。このように,基質によって立体構造が変化する現象を誘導適合(induced fit)という。



基質は酵素分子の表面の特定の部位(活性部位, active site)に結合し,酵素タンパク質が作りだす特殊な環境により,いったんエネルギーの高い状態の(ただし,触媒がない場合よりは低いエネルギーで済む)酵素-基質複合体を形成する。この状態から,基質は生成物(Product)へと化学形を変え,酵素から離れる。それと同時に,酵素は元の分子状態に戻り,再び次の基質と結合する。
酵素反応の一般的な表し方
E + S ES E + P
   E:酵素 S:基質 ES:酵素-基質複合体 P:生成物
酵素反応の速さは,酵素濃度や基質濃度に依存する。酵素反応を理論的に取り扱ったものとして,次のミカエリス・メンテンの式が有名である。
ミカエリス・メンテンの式
1 cat
E + S ES E + P (1)
2
ESの生成速度は、
d[ES]
dt
1[E][S]−(2cat)[ES] (2)
酵素および基質の初濃度を[E]0、[S]0とすると、
[E]0=[E]+[ES] (3)
[S]0=[S]+[ES]+[P] (4)
通常の実験条件では[S]0≫[E]0であり、反応の初期をとれば,加水分解率が10%以下の場合は,[P]は無視できるから、
[S]0≒[S] (5)
としてよい。
また、反応のごく初期以外は、[ES]の濃度変化はないと考えて良い(定常状態近似)ので、(2)式、(3)式、(5)式より、
d[ES]
dt
1([E]0−[ES])[S]0−(2cat)[ES]=0  (6)
これをまとめると、
[ES]=    1[E]0[S]0

1[S]02cat
 
   [E]0[S]0

 [S]0+(2cat)/1
(7)
反応速度 v は、
v = cat[ES] (8)
これを(7)式に代入して、
v = cat[E]0[S]0
[S]0m
(9)
ここで m はミカエリス定数で、次式で与えられる。
m 2cat
     1
(10)
いま、[S]≫Km の条件を考えると、(9)式より、
v = cat[E]0 (11)
となり、反応速度は[S]0 に依存せず0次反応となる。
この時の v を Vmax とすると、
max cat[E]0 (12)
となる。酵素濃度が一定の条件で測定すれば、Vmaxは定数となる。
従って、(9)式は次のように書く事ができる。
v = max[S]0
[S]0m
ミカエリス・メンテンの式)  (13)
 基質濃度と反応速度の関係を図で示すと,次のようになる。
ミカエリス定数の意味
m がv=(1/2)Vmaxを与える基質濃度になることは、ミカエリス・メンテンの式から容易に分かるであろう。


同じ基質に対して,m が異なる酵素の場合,m が小さいほど作用が強いといえる。同様に,同じ酵素に対して,m が異なる基質の場合,m が小さい基質ほど作用を受けやすいといえる。
酵素-基質複合体(ES)の解離定数 S は次のように与えられる。
S 2
(14)
1
 もし、(10)式において 2cat であれば(つまり、ES→E+Pが律速段階)、mSとなり、Sは酵素Eと基質Sの親和性を表わすパラメーターと考えてよい事になる。
 従って、m 値が小さい程 ESの 解離が起きにくい、つまり、酵素と基質が結合し易いことになる。
一般に、E + S = ES の反応は極めて速い平衡にあり、12catの条件が満たされていることが分かっている。これを準平衡の取り扱いと呼ぶ。
[S]≪Kmの場合(低濃度の基質):
ミカエリス・メンテンの式より、
v = (Vmaxm)[S]0 (15)
となり、反応は基質濃度に比例し,一次反応となる。
m≪[S]の場合(高濃度の基質):
v = max (16)
なので,0次反応になり,反応速度は基質濃度に無関係である。
ミカエリス定数の求め方
Lineweaver-Burkプロット
Lineweaver-Burkプロットでは、横軸に1/[S]、縦イに1/Vをとります。直線のX切片が -1/Km、Y切片が1/Vmaxとなるので、グラフからKm、Vmaxを求めることが出来ます。
Lineweaver-Burkプロットは、低い基質濃度のデータの誤差の影響を受けやすいという欠点があり、3種のプロットの中では最も悪いプロットと言えます。従って、このプロット法でほぼ直線になったからといってデータの質が良いかどうかは分かりません。
Eadie-Hofsteeプロット Hanes-Woolfプロット
上の図に示すように、v/[S]の値でプロットするのが、Eadie-Hofsteeプロットです。このプロットは反応速度の誤差に敏感なのが特徴です(つまり、もっともシビアな方法と言える)。データの精度が良い場合は,反応がMichaelis-Mentenの式に合致するかどうかを見つけ出すのに有用です。 Hanes-Woolfプロットは基質濃度 [S][S]/vでプロットします。反応速度の誤差がKmや Vmaxの決定に及ぼす影響を総合的に考慮すると、このプロット法が最も妥当な方法といわれています。
酵素反応の阻害
酵素は種々の化学物質によって阻害(inhibit)される。阻害にはいくつかの様式がある。
@拮抗阻害(競合阻害)
酵素の活性部位に結合し,基質の結合を妨げる阻害の様式。基質とよく似た化学構造を持つ阻害剤「基質もどき」。
拮抗阻害の速度論
ミカエリスメンテンの式は次のようになる。
v = Vmax[S]/( [S]+αm)
 ただし,α=1 + [I]/
Lineweaver-Burkプロットの式は次のようになる。
補酵素に結合して酵素活性を阻害するものもある。
 オキシチアミンピロリン酸はチアミンピロリン酸(TPP)に拮抗する。
《拮抗阻害の特徴》
基質の濃度を上げると阻害剤と置き換わるので,阻害の程度は小さくなる。また,Vmaxは変わらず,mだけが増加する。
拮抗阻害剤の一例
・コハク酸脱水素酵素(コハク酸デヒドロゲナーゼ,クエン酸回路の酵素)
 コハク酸と構造が似ているマロン酸により阻害される。マロン酸は酵素の活性部位に結合するけれど,C=C二重結合になるべき炭素が2つないため触媒作用を受けない。酵素に結合したままになり,阻害する。
 
A非拮抗阻害(非競合阻害)
酵素の活性部位以外の部位に結合する阻害の様式。従って,阻害剤はEともESとも結合する。
非拮抗阻害の速度論
ミカエリスメンテンの式は次のようになる。
v = Vmax[S]/( αe[S]+αsm)
 ただし,αe=1 + [I]/ie  αs=1 + [I]/is
Lineweaver-Burkプロットの式は次のようになる。
非拮抗阻害剤
・酵素のもつ金属イオンと錯塩を形成するもの: CN-, H2S, CO
カタラーゼ,ペーオキシダーゼ,シトクロム類…Fe
ポリフェノールオキシダーゼ…Cu
カルボニックアンヒドラーゼ…Zn
・重金属イオン,Hg, Agなど
ウレアーゼ,パパイン
・酸化剤
SH酵素のSH基を-S-S-に酸化して不活性化
・界面活性剤
酵素の疎水性表面や活性部位近辺に吸着して不活性化
《非拮抗阻害の特徴》
 阻害剤の濃度を上げても,阻害の程度は変わらない。また,mは変わらず,maxだけが減少する。
B不拮抗阻害(不競合阻害, uncompetitive inhibition)
阻害剤が,酵素-基質複合体ESにだけ結合する阻害の様式。
不拮抗阻害の速度論
ミカエリスメンテンの式は次のようになる。
v = Vmax[S]/( α[S]+m)
 ただし,α=1 + [I]/
Lineweaver-Burkプロットの式は次のようになる。
この場合,mとVmaxの両方が変化する。直線は平行となる。[S]と[S]/vでプロットすれば直線は交わる。
  以上の場合,Ki値を求めるには,数種の阻害剤と基質濃度で反応速度を求め,Dixonプロットを行う必要がある。
強く結合する阻害剤(tight binding inhibitors)
酵素への結合が強い阻害剤の場合,[I]が[E]と同程度で実験することになる。このような場合は,Dixonプロットではなく,別の取り扱いが必要となる。詳細はpdfファイル「阻害剤の反応速度論」を参照のこと。
 


不活性な前駆タンパク質としてつくられ,ペプチド鎖の一部が切られて活性型の酵素に変化するものもある。
ペプシノーゲン→ペプシン
トリプシノーゲン→トリプシン
キモトリプシノーゲン→キモトリプシン
プロエラスターゼ→エラスターゼ
プロトロンビン→トロンビン

キモトリプシノーゲンの活性化機構


セリンプロテアーゼの
活性中心残基

α-キモトリプシンの立体構造
リン酸化と脱リン酸化による酵素活性の調節
タンパク質中のセリン,トレオニン,チロシン残基はOH基をもつ。OH基はリン酸化されることがある。リン酸化されると活性型の酵素になるものや,逆に,リン酸基が外れると活性型になる酵素がある。
アロステリック酵素
酵素タンパク質の立体構造は硬い固定したものではなく,状況に応じて構造は変化する。アロステリック酵素と呼ばれる酵素では,活性部位の近辺に効果物質アロステリック因子)が結合する部位が存在。これにより,アロステリック酵素は立体構造が変化し,活性が大きく変化する。
アロステリック酵素やタンパク質は,多量体タンパク質である。


通常の酵素では基質濃度と反応速度の関係はミカエリス・メンテンの式に従うので,上の(a)のような曲線で表される。これに対して,アロステリック酵素の場合,基質濃度と反応速度の関係は上の(b)や(c)のように,S字型曲線となる。 (赤,負のエフェクター存在下,緑,正のエフェクター存在下)
(a)フィードフォワード調節
多段階の代謝過程において,前の反応の基質や生成物が,後の反応の酵素活性を上昇させる(活性化する)調節機構。
(b)フィードバック調節
多段階の代謝過程において,後の反応の生成物が,前の反応の酵素活性を低下させる(阻害する)調節機構。負のフィードバック調節という。逆に,活性を上昇させる場合には,正のフィードバック調節という。
フィードバック阻害の例
ホスホフルクトキナーゼは解糖経路の律速酵素である。解糖により生じるATPがこの酵素の阻害剤として働く。